平和への祈り - 広島平和公園

公園に入るとまず、当時の姿をほぼとどめる原爆ドーム（旧広島県産業奨励館）が目に飛び込みます。爆心地からわずか約160mの位置で被爆しながらも倒壊を免れたこの建物は、原爆の惨禍を今に伝える貴重な遺構です。その前に立つと、当時の状況を肌で感じ、平和への誓いを新たにします。

園内を進むと、原爆死没者慰霊碑（平和の碑）へとたどり着きます。ここには「安らかに眠ってください　過ちは繰返しませぬから」という碑文が刻まれ、背後の石室には被爆者名簿が納められています。その先には平和の灯があり、核兵器が地球上からなくなる日まで燃え続ける願いを込めて灯されます。これらのモニュメントは、過去の悲劇から学び、未来の平和を築くための生きた教材と言えるでしょう。

公園全体が平和へのメッセージを発信し続けており、修学旅行生から海外の観光客まで、さまざまな人々が静かに祈りを捧げています。毎年8月6日には平和記念式典が執り行われ、世界中から多くの人々が平和への誓いを新たにします。観光という言葉では片付けられない、人類として一度は訪れ向き合うべき場所です。


【豆知識】
・公園の設計は、広島平和記念資料館と同じく建築家・丹下健三氏のマスタープランによるものです。

・平和の灯は1964年に点火され、以来一度も消えることなく、核兵器廃絶への決意を象徴しています。