国宝 - 仁科神明宮

長野県大町市に位置する仁科神明宮は、約500年の歴史を持つ、日本最古の神明造りの神社として知られています。その歴史的価値から、本殿、中門、釣屋が国宝に指定されており、特に本殿は、伊勢神宮と同じ建築様式でありながら、伊勢神宮に次ぐ最古の神明造りの建造物として非常に貴重です。また、本殿の屋根は、檜皮葺き（ひわだぶき）という、日本古来の伝統的な屋根葺き技術を用いられており、その美しさが評価されています。社殿は、安曇野の深い森の中にひっそりと佇んでおり、一歩足を踏み入れると、厳かで神聖な空気に包まれます。

境内を散策すると、樹齢数百年を数える杉の巨木が立ち並び、神社の長い歴史を物語っています。社殿を囲む瑞垣も、風情があり、その美しい木組みの構造に見入ってしまいます。仁科神明宮は、古くから安曇野の総鎮守として崇敬され、五穀豊穣、商売繁盛、家内安全などのご利益があるとされています。静寂な森の中で、神聖なパワーを感じながら、歴史の重みに触れることができるでしょう。
仁科神明宮は、派手さはないものの、日本の伝統建築の美しさと、安曇野の豊かな自然が調和した、静かで心安らぐ場所です。


【豆知識】
仁科神明宮では、伊勢神宮にならい二十年に一度、社殿の全面造営とご神体の仮殿から本殿へのお遷しを行う「式年正遷宮祭（式年遷宮祭）」が斎行されます。次回は2040年11月に予定されており、深夜の遷座祭をはじめ、伝統芸能奉納や餅まきなど三日間にわたる盛大な大祭です。