天守閣が現存する松江城

松江城の最大の魅力は、築城当時の姿を今に伝える現存天守である点にあります。全国にわずか12城しか残されていない貴重な天守閣の一つであり、その中でも国宝に指定されている5城の一つとして、その歴史的価値は非常に高いです。天守の内部には、かつての城主たちの歴史や、城の構造に関する資料が展示されており、最上階からは松江市街や宍道湖（しんじこ）の雄大な景色を一望できます。黒い壁が特徴的な外観は、どっしりとした重厚感を持ちながらも、千鳥破風が優雅さを添え、「千鳥城」の愛称で親しまれています。

松江城の周辺には、内堀を巡る「堀川遊覧船」があります。船に揺られながら、城の石垣や城下町の武家屋敷群、そして水辺から見上げる天守閣の姿は格別です。四季折々の風景が楽しめ、特に桜の季節や紅葉の季節は、水面に映る景色がさらに美しさを増します。船頭さんのユーモラスな解説も楽しく、松江の歴史や文化を肌で感じられる、人気の観光アクティビティです。正直なところ、松江城を訪れるなら、堀川遊覧船は外せない体験だと断言できます。

城の周辺には、江戸時代の武家屋敷が残る「武家屋敷（旧松江藩士の住居）」や、美しい日本庭園を持つ「小泉八雲記念館・旧居」など、見どころが満載です。これらを巡ることで、松江の城下町としての歴史と、そこに生きた人々の暮らしに深く触れることができます。個人的には、天守閣の重厚さに感動しつつも、堀川遊覧船から見上げる城の姿や、城下町の風情を楽しむことで、松江城の多面的な魅力を感じられます。


【豆知識】
・松江城の天守は、日本で唯一、正統な「望楼型（ぼうろうがた）」と「層塔型（そうとうがた）」の折衷様式を持つと言われています。

・天守閣の地下には、塩を貯蔵するための「塩櫓（しおやぐら）」という珍しい部屋があります。

・堀川遊覧船は、冬期には「こたつ船」となり、暖かく快適に遊覧を楽しめます。

【穴場スポット情報】
松江城の敷地内、天守閣へ向かう坂道の途中にある「興雲閣（こううんかく）」は、明治時代に建てられた洋風の建物で、かつては明治天皇の行在所（あんざいしょ）にもなりました。現在、内部は無料で公開されており、豪華なシャンデリアや調度品など、明治の面影を感じられます。天守閣の影に隠れがちですが、一見の価値ありです。