矢掛宿場の旧矢掛本陣

旧矢掛本陣の特徴は、その規模の大きさと、江戸時代後期から明治初期にかけての姿をほぼそのまま残している点にあります。建物は、表門、玄関、大広間、居間、台所など、当時の本陣としての機能がすべて揃っており、格式の高さを今に伝えています。特に、大名が過ごした「上段の間」は、その荘厳な造りから当時の権威を感じることができます。内部には、大名が使用した駕籠（かご）や調度品、関連資料などが展示されており、約260年間続いた参勤交代の歴史を肌で感じられるでしょう。

本陣の敷地内には、美しい庭園も広がっています。四季折々の表情を見せる趣のある日本庭園で、大名が滞在中に眺めたであろう景色を想像しながら散策するのも一興です。庭園の眺めは、疲れた旅の心を癒してくれることでしょう。建物全体から漂う歴史の重みと静寂は、現代の喧騒を忘れさせてくれます。

矢掛宿は、山陽道唯一の現存する本陣と脇本陣の両方が残る宿場町として知られています。旧矢掛本陣を見学することで、単に建物を見るだけでなく、江戸時代の交通や社会の仕組み、そして大名行列という壮大な歴史絵巻の一端を感じることができます。歴史好きにはもちろん、日本の伝統建築に興味がある方にも大変おすすめの場所です。


【豆知識】
・矢掛本陣は、石井家が代々務めており、約260年間続いた参勤交代の歴史を支えました。

・本陣の建物は、国の重要文化財に指定されています。

・矢掛宿には、本陣だけでなく、脇本陣（旧高草家住宅）も現存しており、両方を見学することで、より深く宿場町の様子を理解できます。

【穴場スポット情報】
旧矢掛本陣から徒歩圏内にある「矢掛町立図書館」には、矢掛宿や本陣に関する郷土資料や歴史書が多数所蔵されています。本陣見学後に、さらに深く矢掛宿の歴史を学びたい方には、静かに知識を深められる穴場です。