渋谷駅の壁画 - 岡本太郎「明日の神話」

東京都渋谷区、JR渋谷駅と京王井の頭線渋谷駅を結ぶ渋谷マークシティ2階の連絡通路に、岡本太郎の巨大壁画「明日の神話」が展示されています。縦5.5メートル、横30メートルもの大画面に、原爆が炸裂する瞬間と、それに打ち勝つ人間の生命力が描かれたこの作品は、岡本太郎自身が高く評価した作品と言われています。美術館ではなく、日常的に多くの人が行き交う駅の通路に設置されていることで、芸術を「暮らしの中」で体感するという岡本太郎の思想が具現化されています。

この壁画は、もともとメキシコに建設予定だったホテルのために1960年代後半に制作されましたが、ホテルの経営悪化により行方不明となっていました。約30年の時を経て、2003年にメキシコ郊外の資材置き場で無残な姿で発見され、約1年をかけて修復された後、2008年から渋谷に恒久設置されました。2023年10月10日から大規模改修が実施され、現在もその力強いメッセージを発信し続けています。

渋谷駅という日本の主要ターミナル駅という場所で、多くの人が日々この作品を目にしています。単なる待ち合わせ場所としてだけでなく、芸術と平和について考えるきっかけを与えてくれる存在として、ぜひ一度足を止めてじっくりと鑑賞していただきたい場所です。渋谷観光の際には、ぜひこの大作に触れてみてください。

【豆知識】
「明日の神話」には、1954年のアメリカの水爆実験で被爆した日本の漁船「第五福竜丸」がモチーフとして描かれています。また、この壁画は、岡本太郎の代表作である大阪万博の「太陽の塔」とほぼ同時期に制作された作品です。岡本太郎は「芸術は爆発だ！」という言葉でも有名ですが、彼の作品には常に人間の生命力や、社会に対する強いメッセージが込められています。

【穴場スポット情報】
渋谷駅周辺には、近年再開発が進み、新しい商業施設や展望施設が多数オープンしています。渋谷スクランブルスクエアの展望施設「SHIBUYA SKY」からは、東京のパノラマ夜景を楽しむことができます。また、渋谷駅から徒歩圏内にある金王八幡宮は、都会の喧騒から離れて静かな時間を過ごせるパワースポットとしておすすめです。

青山には岡本太郎記念館があります。小田急沿線の向ケ丘遊園には、「岡本太郎美術館」もあります。