岡山市足守の近水園と侍屋敷

近水園は江戸時代前期（1700年代）に足守藩主・木下定良が旧陣屋跡に築いた大名庭園です。約5,500㎡の敷地には池泉回遊式の流れが配され、東側には御殿山（宮路山）を借景として取り込んでいます。池には鶴島・亀島が配され、足守川から引かれた清水が庭園を潤します。北側の吟風閣は18世紀に京都御所の余材で建てられた書院造で、建築当時の風情を今に伝えています。

吟風閣からは庭全体を一望でき、池泉と借景、茶室の配置が織りなす風景は「池のほとりに建つ書院」と称され、美しさで知られます。

近隣には旧足守藩国家老・杉原家の侍屋敷（旧足守藩侍屋敷遺構）があり、白壁の長屋門や武家書院造の母屋、遠州流小庭園が建物外部から見学可能です。足守の城下町として残る町家や旧商家の並ぶ通りと合わせて散策すれば、江戸時代の武家文化や城下町の風情をより深く感じられます。


【穴場スポット情報】
旧足守藩侍屋敷遺構（杉原家旧宅）：近水園から徒歩約10分。白壁の長屋門や遠州流の小庭園を外部から見学でき、江戸時代中期の武家書院造を間近に感じられます。内部には武家道具類が一部復元展示され、足守藩家老の格式高さをうかがわせます。

足守町並み保存地区：近水園周辺に残る町家や商家が軒を連ねる通りで、白壁や格子窓の伝統的な建築が見られます。静かな路地裏を歩くと、江戸～明治期の城下町の面影を感じられ、お土産屋や甘味処、カフェも点在しているため、庭園と併せて散策するのがおすすめです。