岡山ラーメンの老舗！ 天神そば

岡山・城下電停前の「天神そば」は、昭和45年創業の老舗。色褪せた赤い看板とレトロな店内は、半世紀の時間をそのまま留めたような佇まいです。平日昼のみの短い営業時間にもかかわらず行列が絶えず、席はカウンターと相席のテーブルでこぢんまり。丁寧に少量を作り続ける姿勢と、岡山ラーメンの“原風景”を味わえる特別感が魅力です。

丼は基本一択。老鶏の鶏ガラを炊いた濃口醤油清湯に鶏油がふわりと香り、コクとキレのある旨味がぐっと迫ります。中細ストレート麺はやや固めで、密度のあるコシがスープをしっかり持ち上げる印象。トッピングは噛み応えのあるチャーシュー、ピンクのかまぼこ、ネギ、もやしの王道構成で、卓上の一味や胡椒で輪郭を調えると、後味は意外にすっきりと収まります。

注文は並んでいる間に取りに来てくれることが多く、会計は食後現金のみ。玉子入り、麺増し（二ツ玉）や肉抜きなど細かな融通がきき、常連は番号で伝えるローカルな所作も含めて“岡山の名物体験”になっています。

一方で、席数の少なさゆえ回転は遅く、30〜70分待ちも覚悟。提供は平日昼のみで訪問難度は高め、メニューは実質一種類なのでバリエーションを求める人には不向きです。また、塩味や鶏油の強さは好みが分かれることも。混雑と狭さ、相席が苦手な人は開店直後を狙うのが無難です。