昔のまま現存！甲賀流 忍術屋敷

甲賀流忍術屋敷の最大の見どころは、その建物自体が持つ様々な仕掛けです。例えば、一見すると普通の襖や壁に見える「どんでん返し」は、力を加えると回転し、瞬時に姿を消すことができます。また、床板が外れる「落とし穴」は、約3メートルの深さがあり、敵を閉じ込めるための仕掛けです。さらに、中二階から三階へと続く「隠し階段」や、壁の格子の一部が外れる「忍び窓」など、脱出や隠れるための工夫が凝らされています。これらのからくりは、攻撃のためではなく、主に防御や逃走のために用いられたもので、忍者の知恵と生存術の結晶と言えます。

屋敷内には、手裏剣や忍術奥義を記した巻物など、忍者が実際に使用したとされる忍具や書物も展示されており、当時の忍者の生活や術の一端を知ることができます。また、薬の行商も行っていたとされる甲賀忍者にちなみ、忍者飲用薬草茶「健保茶」の試飲も可能です。これらの展示や体験を通して、テレビや映画で描かれるような超人的な忍者像ではなく、実在した忍者の知恵と工夫、そして彼らの生きた時代背景をより深く理解することができます。

望月出雲守の屋敷は、戦国時代を経て元禄年間に完成した建物で、戦乱の時代に培われた忍者の知恵がいざという時のために自宅に施されていたことがわかります。交通の便も良く、JR甲南駅から徒歩圏内にあるため、アクセスも便利です。甲賀流忍術屋敷は、歴史愛好家や忍者ファンはもちろんのこと、子供から大人まで、楽しみながら歴史と文化に触れることができる、ユニークな観光スポットです。

【豆知識】
・甲賀流忍術屋敷は、約330年前の元禄年間に建てられた本物の忍者の住居です。

・甲賀忍者は、特定の主君に仕えるのではなく、薬売りなどに扮して情報収集を行うなど、実用的な知恵に長けていたと伝えられます。

・屋敷の瓦には、望月家の家紋である「九曜紋」が至る所に施されています。