日本神話 - 天の岩戸

伊勢志摩国立公園の逢坂山中腹にひっそりと開いた「天の岩戸（恵利原の水穴）」は、直径約50cmの石灰岩洞から毎日約31,000トンもの清冽な水が湧き出す名水スポットです。1985年には環境省の「名水百選」に選定され、その清らかさは現在も地域の水道や農業用水として重宝されています。

洞窟は古事記・日本書紀に伝わる天照大神隠れの伝説とも縁があるとされ、全国に点在する“天岩戸”のひとつとして信仰を集めてきました。中でも、宮崎県高千穂町の天岩戸神社は古来より神話の舞台として知られていますが、こちら恵利原の水穴も“もうひとつの聖地”として地元で大切に守られています。

周囲は深い杉林とカルスト台地が続き、洞口にかかる小さな禊滝（みそぎだき）のせせらぎが心地よく響きます。春は若葉の緑、夏は涼を呼ぶ水音、秋は紅葉の装い、冬は凛とした空気と、四季折々の自然美が訪問者を癒します。参拝者は鳥居をくぐり、禊滝のほとりで手を合わせ、神話の世界に思いを馳せることで心身を清める流れが古くから伝わっています。

伊勢神宮から車で20分ほどの距離です。